RESEARCHES

研究内容

怪我や病気で傷ついた体の部分を形も機能も
修復することができる素材を開発し、
細胞を使わない再生材料を提供するのが我々のミッションです。
特に、腎臓機能の再生素材の実現に
最も力を入れて開発に取り組んでいます。

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我々は以前からコラーゲンを主体とした細胞外骨格の様々な機能に着目し、「脱細胞化」という手法を応用して生体由来の組織・臓器から効率的に細胞成分を除去する技術を開発してきました。
得られた無細胞の細胞外骨格は体の中で組織の修復を促し、速やかに自己組織化する優れた機能を持っていて、特に決して再生し得ない腎臓でも非常に強力な修復効果を示しました(2017年万国外科学会優秀演題賞)。
生体から得たコラーゲンを主体とした細胞外骨格を医療材料として活用できれば、組織・臓器の自己修復能を呼び覚ます、これまでにない画期的な治療の実現が期待されると考えました。
「脱細胞化」の処理によって細胞成分が除去されるので、生きた細胞を外部から持ち込まない点で拒絶や腫瘍化などの危険性がほとんど無く、複雑な製造作業を必要としないため、短い開発・製造期間で患者様の元に届けることが可能です。

RESEARCHES 01

脱細胞化という新しい技術

体からすべての細胞を取り除くと透明なコラーゲンを主体とした細胞外骨格が残ることが知られています。このコラーゲン等の蛋白質が組織の自己修復に非常に重要な役割を担うことが示されていますが、我々は、この細胞外骨格の有効成分を効率的に抽出するための「臓器の脱細胞化技術」を開発いたしました(Nat Med 2010, Cell Transplant 2013)。
抽出した臓器骨格は体の中で組織・臓器の自己修復力を促す効果を示しましたが(特許出願)、様々な臓器(心臓・小腸・肝臓・腎臓・膵臓)で試験を繰り返した結果、驚くべきことに本来自己修復しないはずの腎臓で、最も強い修復効果を示しました。
この技術を元に我々は現場の医師が使いやすく、患者様の負担の少ないゲル材を開発し、その有効性を検証した結果、これまでにない組織の自然治癒を促す効果を持つ、新しいコンセプトの医療素材の開発に成功いたしました。

研究内容イメージ画像
RESEARCHES 02

技術の革新性

我々の技術の独創的な発想は、これまでの再生医療とは一線を画し、iPS細胞のような細胞自体を外から投与せずに、人体が本来持つ自然治癒力・自己修復力を呼び起こすことができる生体医療素材を使用しながら画期的な治療効果を得る、全く新しいコンセプトの医療技術であるという点です。
実際には細胞や臓器の移植が必要な重い病気はありますが、細胞治療は現在大変高額で、長い開発期間が必要なため、治療の恩恵を受けられる患者様や病気が限られてしまっています。この技術によって開発された新しい医療材料を使って、患者様の負担が非常に少ない治療法で腎臓の修復が実現し、その結果、透析導入を遅らせることができれば、多くの患者様に福音となる可能性があります。また、技術的には他の組織や臓器への応用がとても簡単なため、拡張性・将来性は非常に高い技術と言えます。特に我々が開発した医療材料の特徴として、(1)細胞を使用しない、(2)組織修復能が高い、(3)体内で速やかに自己組織化する、(4)他の臓器への高い汎用性、(5)透析等非常に広い対象疾患、といった点が挙げられます。

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